下顎が針のようだから針魚、あるいは魚体が細いから細魚、どちらも「さより」と読ませますが、私はこの下顎が好きなので針魚と書かせていただきます。何故この針のような下顎が好きなのかと申しますと、この下顎の先端の部分が口紅を塗った様に朱色でございまして、この朱色が、細長く銀白色に輝く魚体を一層美しく見せるからでございます。 その味はと申しますと、見た目の美しさに負けず繊細で上品でございまして、光物でありながらも光物独特の臭みなど微塵もございません。私個人としましても、お気に入りのネタのひとつでございます。 本日銀座すし栄本店で入荷した針魚は、大阪湾で漁獲された、1本120グラムの大物でございます。 これだけの大物ですと脂の乗りも申し分ございませんが、その脂が決してくどくないのがまた嬉しい限りでございます。 このような大物は特に「閂(かんぬき)」と呼ばれます。 閂とはご存知のとおり門を閉める太い棒のことでございますが、いくら大物とは言え元々が細い魚でございますから、閂と名付けた方の洒落っ気には脱帽でございます。 この私のお気に入りの閂を、銀座すし栄本店にて一度お味見してみませんか。 |
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